JUN 01 2025

不登校経験を武器にする！教育学部で教員になる未来

先生になりたい。不登校だった自分でも、なれるの？

「先生になりたいけど……自分、不登校だったし」

そう思って、このページを開いたあなたへ。
最初に伝えたいことがあります。

――はい、あなたにもなれます。むしろ、あなたにこそなってほしい。

学校に行けなかった日々。
布団から出るのが怖かった朝。
教室の笑い声が遠くに感じた放課後。
あのときの自分の気持ちは、きっと誰よりもあなたが知っています。

その経験は、つらい記憶だったかもしれません。
でも、その経験こそが、未来の子どもたちにとっての“希望”になるのです。

教室に入れなかったあの日が、“教壇に立つ未来”につながる

かつては「学校が怖い場所」だったあなたが、
今度は「学校を安心できる場所」に変える側になったとしたら――どうでしょう。

もし、目の前に同じように苦しんでいる子がいたら。
「私も、そうだったよ」と静かに語れる先生がいたら。
その子は、きっと少しだけ心を開けるかもしれません。

不登校の経験は、ただの過去ではありません。
それは、“わかってくれる先生”になるための、かけがえのない準備期間だったのです。

「でも、本当に目指せるの？」という疑問に答えます

ここまで読んでも、「とはいえ自分にできるのか……」と不安に思っている方もいるかもしれません。

でも、安心してください。
現実に、不登校から教育学部に進学し、教員になった人はたくさんいます。
彼らに共通しているのは、「不登校の経験を“自分の原点”として語れる強さ」を持っていること。

大事なのは、完璧な経歴ではありません。
「なぜ先生になりたいと思ったのか？」という気持ちが、自分の言葉で語れること。それが、進路選びでも就職でも、大きな力になります。

「経験した人にしか見えない景色」がある

教育現場では、毎年数十万人の子どもたちが、不登校や学校不適応の悩みを抱えています。
彼らにとって、ただ勉強を教える先生以上に必要なのは、“心をわかってくれる存在”です。

あなたが過去に見てきた景色――
誰にも理解されなかった痛み、教室にいるだけで苦しかった感覚。
それは、教育において何よりも重要な「共感の力」に変わります。

そしてその力は、これからの学校に必要とされている、まさに“新しい先生像”なのです。

かつて教室に入れなかったあなたが、
未来の教室を“誰かの居場所”にする。

それは、すごく、意味のあることだと思いませんか？

実は、不登校って“教員向き”の経験だった！？

「不登校だった自分が、先生に向いているなんて、想像もしなかった」

多くの人がそう言います。でも、実際には、不登校という経験こそが、教員としての大きな“資質”になることをご存じでしょうか？

今、教育現場では「教える力」だけではなく、「聴く力」「寄り添う力」「気づく力」が強く求められています。そしてこれらは、不登校を経験したあなたが、自然と身につけてきたものでもあるのです。

「できなかった自分」を知っているからこそ、見える“子どもの心”

不登校を経験した人は、たいてい「できない」「動けない」「頑張れない」自分と向き合った時間があります。誰にも分かってもらえない寂しさや、自分を責める気持ち、焦りや不安。

その感情を、実際に体験したことのある人は、目の前の子どもが「できない理由」も、「頑張れない背景」も、すぐに察知できるのです。

他の人が見過ごしてしまうような小さなSOSも、あなたならきっと気づけるはずです。

それは、ただ教科書を教えるだけの先生には、なかなか持てない感性です。

共感力・聴く力・“無理しない工夫”は、教育の武器になる

不登校経験者の多くは、何かを強制されることに敏感だったり、人との距離感を繊細に感じ取る力を持っています。

たとえば：

子どもが「話したい時」と「そっとしておいてほしい時」の違いがわかる
頑張りすぎる子の心配な兆しに、いち早く気づける
無理に詰め込まないで、自然と意欲を引き出す工夫ができる

これらは、実際の学校現場で“超重要”な力です。

あなたが身につけた「やさしくて、しなやかな教育観」は、これからの学校を変えていく力になります。

「弱さを知っている先生」が、今、本当に求められている

最近の教育では、「生徒に寄り添える先生」のニーズが高まっています。
とくに、心のケア、メンタルサポート、安心できる教室づくりなど、“人間的な力”が重視されるようになっています。

そこにぴったり当てはまるのが、不登校経験をもつ人材です。

弱さを知っている先生は、子どもにとって“安全基地”になります。
「この先生は、自分のことをちゃんと見てくれている」と思えるだけで、子どもたちは前を向けるのです。

だから、あなたのような人が先生になることには、大きな意味があります。

これまでの学校生活では、評価されにくかったあなたの特性。
でも、それこそが教育現場での“価値”となり、“武器”になるのです。

教育学部への道は、思ったよりも広くてやさしい

「先生になりたい気持ちはあるけれど、進学なんて自分には難しそう…」

そう思っていませんか？でも実は、教育学部への道は一つではなく、たくさんのルートが用意されているんです。

不登校だったとしても、高校に通っていなかったとしても、今からでも大学で学び、教員になることは十分に可能です。ここでは、そのための“現実的な選択肢”をやさしく解説します。

1. 一般入試だけが「正解」じゃない

「大学受験」と聞くと、つい“学力勝負の一般入試”を思い浮かべがちです。もちろん、一般入試で教育学部を目指すこともできますが、それだけではありません。

むしろ、不登校の経験を活かしたいなら、**「総合型選抜（旧AO入試）」や「学校推薦型選抜」**の方が向いているケースも多いのです。

◆ 総合型選抜（AO入試）とは？

学力テストよりも、「志望理由書」「面接」「小論文」などで評価される入試形式
不登校の経験や、そこから立ち上がったプロセスが強いアピールポイントになる
「なぜ教員を目指したいか」を自分の言葉で伝える力が評価される

◆ 学校推薦型選抜とは？

在籍している高校の推薦をもらって出願する制度
通信制高校でも、実績や提出物、面接の印象によっては十分チャンスあり
教員志望の人に特化した推薦枠を設けている大学も

どちらの制度も、「経験を言葉にして語れる人」が強いという特徴があります。不登校の経験は、まさにそれにぴったりの内容です。

2. 通信制高校や高卒認定からでも教育学部に行ける

「今、学校に通っていないけど大丈夫？」という方もいるかもしれません。

大丈夫です。実際、次のようなルートで教育学部に進学する人はたくさんいます。

◆ 通信制高校から進学

自分のペースで学びながら、高卒資格を取得できる
大学進学を前提としたカリキュラムを選べば、学力面のサポートも充実
レポート提出や面談を通じて、「自分の学びのスタイル」を整えることが可能

◆ 高卒認定試験（旧・大検）を活用する

高校を卒業していなくても、この試験に合格すれば大学受験資格を得られる
必要科目は限られており、独学やサポート教材を使って短期間で合格する人も多い
合格後は、一般入試・AO入試・推薦入試、すべての受験ルートが開かれる

つまり、「高校に通っていない＝夢が閉ざされる」では決してありません。
あなたに合った学び方を選べば、しっかり教育学部へとつながっていきます。

3. 「志望理由書」で、不登校経験を“強みに変える”

総合型選抜や推薦入試では、「なぜ教員になりたいのか」「どんな先生になりたいのか」を伝える志望理由書がとても大事です。

ここで、不登校の経験が大きな力になります。

たとえば：

「学校がつらかった自分が、“安心できる場所”をつくりたいと思った」
「当時支えてくれた先生の存在が、自分の人生を変えてくれた」
「子どもの心に寄り添える先生になりたいと思った」

こうした言葉は、説得力があり、深い想いを感じさせます。
“経験から語れる”というのは、何よりも強い武器です。

小さな一歩から、大きな夢へ

「不登校だったから、進学できない」と思い込んでいた人が、
「不登校だったからこそ、教員になりたい」と志望理由を語る――
そんな逆転のストーリーが、実際にたくさん生まれています。

あなたにも、その物語を歩む力があります。
進学の方法は、一つじゃありません。
あなたに合った道は、必ずあります。

「私は不登校だった先生です」――その言葉が誰かを救う

教室で、突然泣き出した子。
朝、玄関で立ち止まったまま動けない子。
「大丈夫？」と声をかけても、首を横に振るだけの子。

もしかしたら、かつてのあなたに似た子どもたちが、これから出会う教室にはいるかもしれません。

そんなとき、あなたがそっと口にする一言――
「実は、私も学校に行けなかったことがあるんだ」

たったそれだけの言葉で、救われる子どもが、必ずいます。

「あなたの経験」が、誰かの“安心”になる

不登校を経験した人が先生になる意味は、教科の知識を教える以上に、心の居場所をつくることにあります。

誰にも話せなかったこと。
わかってもらえないと感じた孤独。
「行けない」ことを責められるつらさ。
それらを全部知っている先生が、目の前にいる。

子どもにとって、これほど安心できる存在はありません。

学校が「行かなきゃいけない場所」ではなく、「行ってもいいと思える場所」に変わる。
それは、あなたにしかできないことかもしれません。

「頑張れ」じゃなくて、「一緒に考えよう」が言える先生に

不登校の経験があるからこそ、無責任に「頑張れ」とは言えません。
代わりに言えるのは、こんな言葉です。

「無理しなくていいよ」
「できる範囲でやってみよう」
「一緒に、ゆっくり考えていこう」

こうした“寄り添う言葉”は、子どもたちにとって、どれだけ救いになるでしょうか。

経験があるからこそ、生徒の「表には出ない気持ち」を汲み取ることができます。
何も言わなくても、なんとなく分かる――そんな先生がひとりいるだけで、救われる子はいます。

言葉ではなく、“存在そのもの”がメッセージになる

ときには、何も話さなくても、そこにあなたが「いる」だけで意味があります。

「元・不登校の先生がいる」
「そういう道もあるんだ」
「この先生、わかってくれそう」

そんな無言のメッセージが、子どもたちに届いていきます。

そして数年後、かつて不登校だった子が、今度は「先生になりたい」と言い出すかもしれません。
その時、あなたはきっと、こう思うはずです。

「あのとき、不登校だった私にも意味があったんだ」

あなたの存在が、誰かの“生きるヒント”になる。
それは、教員という仕事の、何よりのやりがいです。

元・不登校、今・先生！先輩たちのリアルストーリー

「そんなの理想論じゃない？」
「実際に、不登校から先生になった人なんているの？」

そう思う方もいるかもしれません。
でも実際には、不登校を経験し、それを乗り越えて教員になった人たちが、確かに存在します。

ここでは、実際の事例を元にしたモデルケースをご紹介します。これは架空のストーリーですが、全国にいる“先輩たち”の歩みをもとに再構成したものです。
あなたの未来にも、きっと重なる部分があるはずです。

■ モデルストーリー：さやかさん（小学校教員）

▷ 中学1年の春、不登校に

人間関係のつまずきがきっかけで、教室に入るのが怖くなったさやかさん。
最初は保健室登校をしていたものの、次第に足が遠のき、中学1年の夏以降はほとんど学校に行けなくなりました。

家で過ごす時間が増える中、「なんで自分だけ？」という孤独感と、「こんなんじゃ将来どうなるんだろう」という不安に押しつぶされそうな日々。

でも、その中で彼女を支えたのが、当時担任だった先生の一言でした。

「今は休んでいい。でも、さやかさんの人生はこれからだよ」

その言葉に、少しずつ心が動き始めました。

▷ 通信制高校で再スタート

中学卒業後は、無理に全日制に進むのではなく、自分のペースで学べる通信制高校を選択。
「通えない」ではなく、「学び方を変える」選択をしたことが、自信につながりました。

高1の頃から、少しずつ「先生になれたらいいな」と思い始めた彼女は、教育について調べるようになり、支援学校でのボランティアにも参加。

「自分と似た境遇の子に、安心できる居場所をつくってあげたい」
その想いが、志望動機になりました。

▷ 教育学部へ進学し、教員へ

高校3年で総合型選抜を活用し、志望理由書にはこう書きました。

私は学校が怖かった子どもでした。
だからこそ、教室のどこかに、心が休まる場所をつくれる先生になりたいと思いました。
不登校だった経験は、私の“弱点”ではなく、“宝物”です。

その言葉が大学側に響き、見事、教育学部に合格。
現在は小学校教員として働きながら、1年生の子どもたちにそっと寄り添う日々を送っています。

教員になったからこそ、気づけたこと

さやかさんは、こう語っています。

「不登校の頃は、“なんでこんなことに”と思っていました。
でも今は、“あの時間があったから、今の私がある”と心から言えます」

「自分の経験が、誰かの安心や勇気につながることを、教員になって初めて実感しました」

「子どもたちに言いたいのは、“今、止まっていても大丈夫”ってことです。
私もそうだったから――って、自信を持って言えます」

このように、不登校という過去を持ちながらも、それを力に変えて教育の世界で活躍している人たちは、確実に存在します。

そして何より重要なのは、彼らに共通するのは「特別な才能」ではなく、「誰かのために動きたい」という想いだったということです。

あなたにも、同じような想いがあるのなら――
その気持ちは、きっと未来につながります。

未来の“教室”に、あなたの椅子がある

不登校だった経験を、「なかったこと」にしなくていい。
むしろ、それはあなたにしか持っていない、大切な“物語”です。

そしてその物語を、これから出会う子どもたちのために活かせるとしたら――
それは、どんなに尊いことだと思いませんか？

教育とは、「教えること」よりも「寄り添うこと」

黒板の前に立って、教科書を読み上げるだけが先生ではありません。

本当に子どもたちが求めているのは、

話を聴いてくれる人
気持ちに気づいてくれる人
無理せず一緒に歩いてくれる人

そんな、“人として向き合ってくれる存在”です。

あなたはすでに、それがどういうことなのかを知っています。
なぜなら、かつて「そうしてほしかった側」だったからです。

だからこそ、あなたにはそれができる力があります。

学校がすべてじゃなかったあなたが、「新しい学校」をつくる

「学校に合わなかった自分が、学校の先生になるなんておかしい？」

いいえ、むしろ、それこそが学校を“変えていく”第一歩です。

教育は、いつも「普通」の枠の中にいました。
でも今は、多様性や個性を認める時代に変わろうとしています。

その変化を実現するのは、教科書の内容よりも、教室の空気を変えられる先生です。
安心、安全、共感、そして柔らかさ。
あなたの中にあるその“ぬくもり”が、未来の教育に必要とされています。

あなたの居場所は、失われていない

不登校のころ、「自分の居場所がどこにもない」と感じたかもしれません。
でも、今度はあなたが、誰かの居場所になる番です。

未来の教室には、
あなたが座るべき椅子がちゃんと用意されています。

そこで、かつてのあなたのように迷っている子に、静かに語りかけてあげてください。

「だいじょうぶだよ。私も、むかし同じだったから」

その言葉だけで、救われる命がある。
あなたが先生になる未来は、誰かの希望そのものになるのです。

最後に

「不登校だった自分に、先生なんて……」
そう思っていた気持ちが、今は少しでも「もしかしたら」に変わっていたら――
この記事の意味があったと思います。

先生になりたい。
誰かの力になりたい。
自分の経験を活かしたい。

その想いを、どうか信じてください。
焦らず、自分のペースで歩めば、きっと道は開けます。

あなたの経験は、教育の未来に必要です。

そして、あなたの未来には、きっと子どもたちの笑顔があります。